<連載対談>REISM×Tele-design #3『ほんとうの木目を見ると、落ちついたりイメージが広がったりしない?』
プロローグ
古くなったものに、新しい命をふきこむ。リノベーションした中古物件を通して新たなライフスタイルを届ける「REISM」を運営するRevaxと、REISM空間の設計を手掛けるtele-design代表であり建築家・アーバニスト田島則行氏との対談をWeb Magazine第1弾としてフィーチャー。ちょっと友人に見せたくなる住まいを手に入れたい方、自分らしく生活を楽しみたいという方は必見です。
 

田島 PHOTO田島則行
Tajima Noriyuki
建築家・アーバニスト。1964年、東京都生まれ。1999年よりテレデザインとしてネットワークによる設計活動を開始。家具、プロダクトから、多種多様な建築デザイン、そして、都市計画まで内外の垣根を越えた様々な活動をプロジェクトベースによるフレキシブルなチームワークにより展開中。

PROFILE

『こだわったのは、自然素材という枠組みではなく素材感。選んだのは、その素材の質感や個性を主張できるもの。』


REISM WALL 007 江戸川橋

REISMの物件は、独自のプロトタイプをもとに設計されたリノベーション空間。部屋に入ると、中古物件であることを忘れてしまう程すべてが刷新されたスタイリッシュな空間なのだが、しぜんに気持ちが落ちついて、どこかホッとしてしまうのはどうしてだろう。

REISM “素材感”を大切にしているからではないでしょうか。空間の切り方はもちろんですが、空間を彩るマテリアルも最大限にこだわったところです。ブランドの立ち上げ当初から“素材感”という言葉は、重要なキーワードでしたね。例えば、REISM空間に、賃貸物件でよくみられるようなビニールクロスの壁紙がバーっと貼られていたり、テカテカのフェイク床材だったら全く違う居心地になるのでは。

田島 その違いを、手づくりの飲み屋さんとファーストフード店で例えると…。基本的にはフランチャイズ型の店舗のマテリアルには、大量生産品が使われています。その品質が均一化されている点がポイントで、にせものの素材感で、ほとんどが出来上がっているんです。それに対して、個性ある飲み屋さんの空間というのは、均質とは正反対の色合いというか、本物にこだわったマテリアルが雰囲気を存分に醸しだしている。

REISMの空間には、「手がかからなければいい」みたいなメンテナンスフリーや、均質であれば良いといった工業製品的な発想はしたくないなと。だから、住む人にとって、住みながら使いながら楽しんでもらえるような素材選びを心がけています。選んだのは、その素材の質感や個性を主張できるものです。


REISM ただ、間違えて捉えられたくはないんですが、必ずしも素材感=自然素材という意味ではないんですね。個人的にはメンテナンスフリーや均質という目的のみで使用されている“プラスチッキー”な感じがとてもイヤなんですが(笑)。でも、50年代や60年代に作られたポップなプラスチック家具や雑貨には、すごく“素材感”が感じられる。その素材がそこに使われている意味があるというか、そこにはすごく素材感が表れていると思うんです。

『にせものの素材って、使う人がぱっと見て、すぐ見るのをやめちゃうんですよ。』

ともすれば与えられたものを当たり前に思いがちな、壁紙や床材といったマテリアルのディテール。“素材感”にこだわると、部屋の印象や住み心地まで変わりそうです。


REISM BOX 002 代々木

田島 例えば子供の頃に暮らした家の匂いや柱の節とか自分で傷つけた跡って、深層意識で憶えていたりするんですよね。こういうものには、なんかこう思いを込めるきっかけがあるような。本物の素材って、見ていて目が泳ぐんです。だけど、にせものの素材っていうのは、使う人がぱっと見て、見るのをやめちゃうんですよ。ほんとうの木目を見ていると、落ちついたりイメージが広がったりしませんか?ジーっと見たり、ボーっとしたり、ホッとするというか…愛着が沸きますよね。

REISM メンテナンスフリーだとか、コストを優先した物件は、やはり素材も最大公約数的で画一的になってしまって、使う人にとって思いを込める余地がないのでは。

田島 そういう意味でも、素材の面白さというところは重視しています。表情のある木材やコルクだとか。床材には、やさしいトーンの無垢材を使用することもあります。トータルで空間のバランスを考えているので、物件によっては天井をキレイに創ってしまう場合もありますが、はがした天井のコンクリートを、あえてむき出しにして塗ったりすることも。少しデコボコしていても、それは“素材感”としてアリだなと。

REISM これは、大手のデベロッパーや一般的な建て売り住宅で使われているフローリングです(写真左)。そしてこれが、今REISMで使っている床材です(写真右)。

 

(写真左について)この一般的なフローリングで実際に私達が木だと思って見ている部分って、実は表面のほんの数ミリ位なんです。下は合板でできていているから、ソリが少ないとか均一にできる利点はある。だから作る側としては作りやすいし揃えやすい。

逆にいうと、傷がついて1ミリでも削られると下地がでてきてしまって長持ちしないんですね。長持ちさせる為には、どうしても“削れ”を防ぐ為にコーティング材を厚く塗らないといけない。一般的なフローリングがテカテカしている理由のひとつは、そこにあるんです。


田島 本当なら、自分で定期的にワックスをかけたり傷を愛しんだりして家に愛情を注ぐのは、楽しい時間の過ごし方だと思うんです。そういう時間や住まいとの関わりを感じてもらいたくて、壁には自分で色を塗ることができる壁紙を使っています。最初は白で塗ってあるんですけれど、住みながらインテリアや気分にあわせて、好きな色に塗って自分仕様にしてもらうこともできますよ。

『自分で工夫してくださいっていう強制はあるかな?(笑)』

実際に住むことを考えると、やはり気になるのがキッチンなどの水まわりだ。
ここにも、素材感にまつわるREISMならではのこだわりがあるのだろうか。



REISM BOX 008 後楽園

REISM ステンレスのカウンターがどんとあって、あとは素材をあわせた棚があるというシンプルなつくりをしています。床や壁などと同様にキッチンも素材感にこだわっていますが、自由度のある設計をしてもらっているので、好みのインテリアやグッズでディスプレーを楽しんでもらえたらと思っています。

田島 キッチンはできるだけ単純で、基本的には隠さないことがテーマ。普通は、システムキッチンに代表される隠すようなかたち、つまり収納がついて戸棚がついてっていうのがありますよね。一方ワンルームだと、料理をする気にもならないような小さいコンロが1個ついておしまいとか…。

REISMは、その中間のタイプなんです。料理は楽しんでもらいたいし、キッチン関連の物はキレイに並べてもらってもいいんじゃないかな?と。作りこまないというか、作りすぎないことで自由度を高めています。強制はしないけど、自分で工夫してくださいっていう強制はあるかな?(笑)。


REISM それは、イヤな強制ではなくって、人によってはもちろん拒否することはできるんです。シンクの下に籠や収納家具を置いてもらってもいいし、棚にお気に入りのキッチン雑貨を飾ってもらってもいい。逆にいうと、素材感が引き立てられたシンプルな空間だから、ある程度いい加減に置いてもサマになる。だけどオープンな分、見られることを意識したインテリアや雑貨を自分の個性でチョイスしていくことになるから、自然に発想力が養われるのではないかなと(笑)。 つづく

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