<連載対談>REISM×Tele-design #1『最大公約数をつきつめると、色がなくなる。色をつけようもなくなる。』
プロローグ
古くなったものに、新しい命をふきこむ。リノベーションした中古物件を通して新たなライフスタイルを届ける「REISM」を運営するRevaxと、REISM空間の設計を手掛けるtele-design代表であり建築家・アーバニスト田島則行氏との対談をWeb Magazine第1弾としてフィーチャー。ちょっと友人に見せたくなる住まいを手に入れたい方、自分らしく生活を楽しみたいという方は必見です。
 

田島 PHOTO田島則行
Tajima Noriyuki
建築家・アーバニスト。1964年、東京都生まれ。1999年よりテレデザインとしてネットワークによる設計活動を開始。家具、プロダクトから、多種多様な建築デザイン、そして、都市計画まで内外の垣根を越えた様々な活動をプロジェクトベースによるフレキシブルなチームワークにより展開中。

PROFILE

『ライフスタイルを自分でつくるモチベーションのある人に向けて、何を提供できるだろう?』

都内にある築25年のマンションの一角。RESIMの物件「WRAP」に足を踏み入れると、新しいけれど落ちつきのある木の壁に包まれた空間が広がる。引き戸になった壁の向こうには、水まわり機能が収まっている。“自分ならどう住む?何を置こう?”そこにいるだけで、自然に想像をかきたてられる。そんな、新築でもリフォーム住宅でもない REISMのリノベーション空間とは、一体どんな発想から生まれたのだろうか?


REISM WRAP 006 西荻窪


REISM 4 PROTOTYPE
(左から BOX、WALL、WRAP、FLOAT)
REISM 日本の住空間って、空間から触発されるものが少ないと思っていたんです。新しい生活を始める!という意味での楽しさはあるけれど、空間自体からインスピレーションを受けて新しい自分のスタイルをつくる!という楽しさではないのではと…。

田島 そんな、ライフスタイルを自分でつくるモチベーションのある人たちに向けて、何を提供できるだろう?という発想で生まれたのが、REISM空間の源流となる“プロトタイプ”なんですね。

REISM “衣食住”の衣と食って、多様化する時代に適合するようにバリエーションや種類も豊富だけれど、“住”に関しては、まだまだ選択肢が狭いというか画一的。そこで目をつけたのが、日本でも新しい動きとして注目されはじめたリノベーション。中古不動産を活用した空間の面白さや素材感といったリノベのよさを活かしつつ、品質や基本性能のしっかりした新築のよさも取り入れた住空間を創れないかと漠然と考えていたんです。そんなREISMの思いを直感的に共有してくれて、“プロトタイプ”という手法で実現してくれたのが、台頭するリノベーション文化を創成期から牽引してきたTele-designの田島さんでした。

田島 REISMのプロトタイプは、中古物件を再生するリノベーションを汎用的にコモデティ化なりプロダクト化していくという折衷案。しかも、ニッチではなく、それぞれのライフスタイルを空間が触発するというOne to Oneのあり方で。そこに住むことによって感覚が刺激され、新たなライフスタイルがつくられる。そんなライフスタイルと空間作用が相乗効果的に現れる空間づくりを意識したんです。

『中途半端?な広さを、新しい空間にするにはどうしたらいいか?』

現在REISMの取り扱い物件は、40〜50m²位の広さが中心だ。いわゆる1Rとしては広く、ファミリータイプとしては狭い。どうして、その中間にあたる広さを設定したのだろう?

REISM いま都心で眠っている中古マンションに、活用されきれていないこの位の広さのものが多いということがあります。それ程広くないスペースを無理に細切れにして4Kとか3K、2DKになっていたりと間取りもバラバラ。数は多いしポテンシャルも高いんですが、今後どうしていくのかよくわからない、誰が住むのかはっきりしない。そこに注目したんです。


REISM WRAP 006 西荻窪の図面
(リノベーション前)



REISM WRAP 006 西荻窪の図面
(リノベーション時)


田島 その平米数って、すごい微妙で(笑)。例えば1Rって言われているのが17〜25m²位。部屋1コにユニットバスのお風呂とキッチンがあるという典型的なプランに集約されてくる。一方、50m²を超えて80m²位になるとファミリータイプになっていって…キッチン、バス、個室、個室、LDといったnLDKと言われる空間に集約されて。その中間の30m²〜50m²位迄っていうのは、どちらにもすることができる中途半端な世界なんです。そういったものを、自由度のある新しい空間にするにはどうしたらいいか?というのが1番最初の課題でした。それで、どんな風に変えていったらいいか?住む人はどんな人かな?と考えていくと…住む人数は1人〜2人くらい。けれど従来型の1Rの1人という想定ではなくて、自らライフスタイルを楽しもうというモチベーションのある1人もしくは2人というのがポイント。自由度と許容度のある空間にしたくて。

『昔は同じ立ち振る舞い、同じライフスタイルで…、それに合う空間っていうのがはっきりあった。』

水まわり機能すべてが箱に入っていたり(BOX)、その箱が浮かんでいたり(Float)…。それがあることによって、廊下のようなスペースも自由に使える広々としたオープンフィールドもできる。そんな1Rのようだけれど普通の1RではないREISMの空間は、住居表示でどう表すのだろう?


REISM BOX 002 代々木
REISM いつもOtherってないのかなって(笑)。自社の自由なフォーマットでやる時は出さないんです。でも、物件の登録をする時には◯LDKとか入れないといけない。築年や部屋数、徒歩◯分とか数字で表されている従来の不動産の情報データベースシステムのフォーマットって、住み心地だとかソフトの部分の表現ができない体系になっていて。寝室って書いてあれば誰もがここにベッドを置けばいいと簡単に想像できるけど、例えば「BOX」の空間がボーンとあると、まずどこにベッドを置くかなぁ?とか、ソファを置くかなぁ?って、ちょっと考えないと格好いい部屋にならない。住む人がこの形状をトリガーにして、十人十色のライフスタイルを作ってもらうのがREISMスタイル。むしろ、住み心地というより住みこなしって感じで。

田島 日本には、nLDK神話というのがあって。住居表示でnは部屋の数を表しているんですけど、このnの数が大きければよいのではないかという…。例えば、REISMの求める平米数でよくある3DKに区切られた部屋って、実際には住みにくい。以前は40m²位でも、4人家族とか平気で住んでいました。昔は同じ立ち振る舞い、同じライフスタイルという…、それに合った空間っていうのがはっきりあった。西洋なら、お客さんが来たら、玄関でゲストを迎えて階段脇のゲストルームに通して召使いが地下から食事を運んでくるとか。つまり空間ごとに、その用途や機能がある程度特定されていた。床の間のある日本家屋もそうですよね。いつのまにか畳の部屋にダイニングテーブルとか置くようになっちゃった。今みたいにライフスタイルが多様化して移ろいやすく、変化のスピードが速くなってくると、もはやnLDKというコンセプトすら崩壊してくる。最大公約数をつきつめると、色がなくなるし、色をつけようもなくなっていくんですよね。 つづく

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